住まいの掃除の仕方は、場所や汚れの種類によってさまざまです。洗剤や道具もたくさんの種類があり、用途に応じた使い分けが必要です。だけど、一般に売られている洗剤はたくさん種類があり、どれを選べば良いのか、迷ってしまうものです。
洗剤は、目的にあったものを選ばないと十分な効果を得られることができません。きれいに掃除をするには、まずは汚れの種類を知り、どんな洗剤や道具を使えば良いのか、理解することが大切です。この記事では、住まいを効率良くきれいに掃除するための洗剤を選ぶ豆知識について紹介します。
きれいに掃除をするには、汚れの種類と性質を見抜きましょう
住まいを効率良くきれいに掃除するためには、「汚れ」について知ることが大切です。単に「汚れ」といってもその種類はさまざまです。最初は表面的についたホコリでも、放っておくと水分や油分を吸い取ってこびりつきます。そうなると、水拭きや洗剤で拭かないときれいにならない状態になってしまいます。
掃除を簡単に済ますコツは、汚れの種類を見抜き素早く対処することです。そのために、汚れの種類と洗剤の種類を覚えておきましょう。ちょっとしたコツが解れば、とても掃除が楽になります。
汚れの種類についての豆知識
掃除をする前に、汚れの種類や性質を知っておくことが、効率よく掃除をするコツです。汚れは、大きく分けると次の種類に分けることができます。また、どの場所にどんな汚れがあるのかも確認しておきましょう。
- 水性の汚れ(水拭きするとキレイになる中性の汚れ)
- 油性の汚れ(洗剤を使用しないとキレイにならない酸性の汚れ)
食品の油や身体から出る皮脂や手垢など、家の中の大半は酸性の汚れです。特にキッチンの油汚れはベタベタの粘度が高まり厄介です。 - 水垢やせっけんカス(洗剤を使用しないとキレイにならないアルカリ性の汚れ)
水に含まれるカルキ分や石けんカスなどが、こびりついた汚れです。トイレの尿石もアルカリ性の汚れです。カルキや尿石は蓄積すると石のように硬い汚れになり、落としにくくなります。 - カビ汚れ(湿気が多いお風呂場や洗濯槽の中などに発生するカビ汚れ)
カビは胞子として部屋中を飛び回り、湿度、温度、栄養(汚れ)の3つの条件がそろうと増殖し目立ち始めます。 - 特殊な汚れ(溶剤を使わないと落ちないサビやシミ・変色など経年劣化による汚れ)
キッチンの汚れ掃除
- ホコリ(中性の汚れ)
- 水アカ(アルカリ性の汚れ)
- 油汚れ(酸性の汚れ)
- こげつき(酸性の汚れ)
浴室・洗面所の汚れ掃除
- ホコリ(中性の汚れ)
- 水アカ(アルカリ性の汚れ)
- 石けんカス(アルカリ性の汚れ)
- カビ(カビ汚れ)
トイレの汚れ掃除
- ホコリ(中性の汚れ)
- 尿石汚れ(アルカリ性の汚れ)
- 鉄サビ(特殊な汚れ)
リビングの汚れ掃除
- ホコリ(中性の汚れ)
- 手アカ、皮脂汚れ(酸性の汚れ)
- タバコのヤニ(酸性の汚れ)
洗剤の成分など掃除用洗剤の豆知識
洗剤の種類はどんどん細分化されています。家庭で使われる掃除用の洗剤は、ちょっとあげるだけでも洗濯用、台所用、住居用、さらに浴室用、 トイレ用など用途別に分かれていますが、最近は汚れの種類に合わせて、洗剤の種類もどんどん細分化されています。
ただ、洗剤さえ揃えればなんでもキレイになると、必要以上に揃えてもあまり合理的ではありません。必要な洗剤だけを最小限揃えるだけで大体間に合うものです。
掃除用洗剤の種類と特徴を知っておきましょう
私たちが掃除で使っている多くの洗剤は合成洗剤と呼ばれるものですが、ほかには、洗浄剤、漂白剤、研磨剤などがあります。
合成洗剤の豆知識
合成洗剤の主成分は界面活性剤で、酸やアルカリなどの洗浄補助剤や添加剤を加えたものです。洗剤を選ぶときは液性を確認しましょう。アルカリ性は油汚れが落ちやすく、酸性は脂肪やたんぱく質を分解しますが、その分、肌荒れや材質に影響もあります。中性は中間で手肌にマイルドです。弱酸性、弱アルカリ性もあります。界面活性剤は、汚れと水を結びつきやすくするはたらきがあり、それで汚れを洗い流します。また、材質の表面に吸着して汚れをつきにくくします。
洗浄剤の豆知識
酸やアルカリの化学作用で汚れを落とします。合成洗剤よりも強力なため、塗装面を剥がしたり、変色したり、材質を傷める場合があるので、表示説明をよく読んでから使うことが大事です。浴室、 トイレやレンジなどのしつこい油汚れに使います。カビ取り剤や発泡タイプのパイプ洗剤も洗浄剤です。
漂白剤 の豆知識
アルカリの作用で漂白、除菌して汚れを分解します。酸素を加えて白くする酸化型と、酸素を除いて白くする還元型の2種類があります。酸化型は塩素系と酸素系に分かれます。
- 塩素系…殺菌力が強く、タイルの目地や金属には使えません。
- 酸素系…塩素系よりは効き目はおだやかで、陶器や竹製品、木製品に使います。
- 還元型…浴室やステンレスのサビ汚れに使用します。塩素系漂白剤で黄色に変色したものを元の色に戻します。
研磨剤(クレンザー)の豆知識
界面活性剤に研磨剤を加えてあり汚れをこすり落とします。粉末とクリームタイプの2つがあり、クリームタイプのほうが粒子が細かく傷つきにくいのが特徴です。
その他の薬剤などの豆知識
消毒用エタノール
本来は皮膚の傷口の殺菌。消毒用のアルコールですが、カビ防止やキッチンにも利用でき、材質を傷めません。油溶性のシミ抜きにも効果を発揮します。豆知識として覚えておくと便利です。
重曹
家庭用重曹は洗剤よりも洗浄力は落ちますが、アルカリ成分が汚れを分解し、手や材質も傷めないので幅広く利用できます。コップ磨き、茶渋取り、カーペットの汚れなど。また消臭作用があるので、げた箱や冷蔵庫のニオイ消しにもなります。豆知識として覚えておくと便利です。
このほかにも、アンモニア、オキシドール、ペンキやニスの塗装を剥がす溶剤、ワツクス、金属磨きなど、あると便利なものがあります。
掃除用洗剤の性質
掃除用の洗剤には、酸性・中性・アルカリ性と性質が表示されています。酸性やアルカリ性の度合いを「液性」といいます。液性は、pH(ペーハー)と呼ばれる、0~14の指標で表わされます。pH7が中性で、それより小さければ酸性、大きければアルカリ性となります。
汚れは洗剤で中和すると、落ちやすくなります。酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤、アルカリ性の汚れには酸性の洗剤で中和することで汚れの個性を弱め、取り除きやすくします。そして、界面活性剤の効果で汚れを落としやすくします。
市販の掃除用洗剤は、液性が酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性に分類されています。それは助剤として含まれる物質の性質に大きく作用されます。酸やアルカリの性質が強くなるほど、強力に汚れを落とします。また、界面活性剤には、汚れに浸透してはがしやすくする働きがあります。
掃除用洗剤を選ぶ際には、成分を確認して、場所や汚れに適したものを選びましょう。 掃除をする場所の材質によっては使えない洗剤もありますので、注意してください。また、ゴム手袋やビニール手袋などを着用して、洗剤や汚れから肌を守ることも忘れずにしてください。
掃除用洗剤の主成分の豆知識
大抵の洗剤に書かれている成分表には界面活性剤という言葉が書かれています。洗剤の主成分とはこの界面活性剤といっても良いくらいのものです。それではいったい、界面活性剤とは何なのでしょう。
界面活性剤とは、石油や動植物性の油脂を化合した化学物質です。この化学物質の性質を簡単に説明すると、水と物との境目に入り込み、水と物とが交わりやすくしたり、物から汚れを浮かし取ったりする効果があります。また浮かしとった汚れの回りに吸い付かれ、再び汚れがつく事を防止してくれます。
ふつう、油と水は混ざりませんが、界面活性剤の効果で油と水が混ざり合った状態になると、汚れが離れやすくなります。つまり、洗剤の汚れを落とす主成分は、界面活性剤と言えるのではないでしょうか?
助剤や添加剤の豆知識
掃除用洗剤には主成分である界面活性剤の他にも、色々な成分が含まれています。主成分以外の洗剤に含まれる成分は大きく分けると助剤と添加剤に分けることができます。
助剤とは界面活性剤の効果を助ける役目をします。つまり、洗浄力をアップさせる物質です。アルカリ剤や酸などがこれに当たります。
添加剤とは洗剤の能力をアップさせる物質です。たとえば、洗濯用の洗剤に漂白剤や消臭剤を配合し、汚れを落とす(界面活性剤+助剤の効果)目的洗剤+漂白、消臭といった付加価値をもたらします。
汚れ別洗剤選びの豆知識
ほこり、手垢、やになどの一般的な汚れを落とす
住宅用弱アルカリ洗剤 ー 成分:界面活性剤・アルカリ剤
レンジ・換気扇の油汚れを落とす
住宅用強力アルカリ洗剤 ー 成分:界面活性剤・グリコールエーテル
風呂の湯垢を落とす
浴室用弱酸性洗剤 ー 成分:界面活性剤・有機酸
普段のトイレ掃除
トイレ用洗剤 ー 成分:界面活性剤・無機分散塩
トイレの黄ばみを落とす
トイレ用酸性洗浄剤 ー 成分:界面活性剤・塩酸
ガラスの汚れを落とす
ガラス用弱アルカリ洗剤 ー 成分:界面活性剤・アルカリ剤
パイプの詰まり
パイプ洗浄剤 ー 成分:過炭酸ナトリウム・炭酸塩
カビ汚れを落とす
塩素系カビ取り剤 ー 成分:次亜塩素酸ナトリウム・水酸化ナトリウム
水垢を落とす
水垢落とし用洗剤 ー 成分:界面活性剤(アルキルアミンオキシド)、増粘剤