室内や家の外まわりの掃除や手入れは、いつもやっていることですから、あらためて掃除について考えなくてもよさそうなものです。でも、掃除の相手であるホコリや汚れの正体を知っておくと、掃除や手入れのやり方のコツがわかり、工夫も生まれてきます。また、掃除アイテムや洗剤を使う場合にも、適材適所の使い方ができます。このページでは、掃除に役立つホコリと汚れの正体について紹介しています。
ホコリの正体ってなに?
何もしなくても、いつの間にかたまつてしまうホコリですが、このホコリは室内の空気中に浮遊しているさまざまな塵のことで、ハウスダストとも言います。風や靴や衣服について運ばれる砂や土が半分を占めると言われています。
残りの半分が、目に見えるものでは、綿ボコリやフケ、食べ物のカスなどです。やっかいなのは目に見えないホコリです。目に見えないホコリには、粉塵や花粉・ダニ・カビの胞子・微生物・タバコの煙・VOC(揮発性有機化合物)などがあります。VOCとは一酸化炭素・酸化イオウ・窒素化合物などのことです。
ホコリに含まれているこれらの物質が体内に入ると、気管支ぜんそくやアトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー症状を引き起こすことがありますので、ホコリは意外に軽視できないものなのです。
掃除をしないと、どうしてホコリは積もるの?
ホコリは空気中を浮遊しているので、人が動くと空気がかきまわされて舞い上がり、再び上から落ちてくるという動きを繰り返しています。人が集まるリビングなどは、そこにあったホコリに加えて、衣服についたホコリも増えるので、動くたびにホコリが舞っていることになります。また、布団の上げ下げやベッドメイクのときなどは、布団の綿ボコリが落ちるため、寝室はホコリが多いというデータもあります。
空中に舞ったホコリはゆっくりと下に落ちてきますが、途中で家具などがあるとその上に積もります。部屋の隅や家具の裏側などの空気が動かない所は、ホコリがどんどん積もるわけです。
床の種類や季節によってもホコリのたまり方が違います
ホコリを吸い取るのに電気掃除機を使いますが、カーペットの部屋とフローリングの部屋を同じように掃除していませんか。カーペットはホコリを集めやすい材質なので、人が歩く箇所にホコリがたまります。出入り口やソファーの付近、テーブルのまわりが要注意です。それに対してフローリングの部屋は、物を置く場所にもよりますが、部屋の中を歩きまわったりするのでホコリは隅へ隅へと移動していきます。畳の部屋も同じでホコリは隅にたまります。畳の縁もホコリが付着しやすい箇所です。
また、季節ことでは、冬と春がホコリの量が多くなります。冬は室内を閉めきったままでエアコンや暖房器具を使用するため、衣服から出る綿ボコリや下にたまったホコリをかきまわしているようなものです。こまめに換気をしましよう。春は強い風が花粉や砂ボコリを室内に運んでくるため、掃除機をかけたり拭き掃除をする必要があります。
掃除の基本は汚れを知ることから
住まいをいつも快適に保つには、室内のホコリを取るだけでなく、汚れを取り除くことも大きなポイントです。ただし、汚れの性質や特徴によって、洗剤を使わなくてもすむ汚れもあれば、強力洗剤やほかの方法に頼らなければいけない汚れもあります。なるべく洗剤を使わないで掃除をし、汚れを落とす努力をしたいものです。
というのも、私たちが普段何気なく流している洗剤などの排水は、川や湖に流れ込んで水源を汚しているからです。家庭での洗剤の使用量を減らすことが、地球環境を守ることにつながると言えます。室内の汚れには、大きく分けると3つの種類があります。
材質の表面に軽くのっている汚れ
ホコリ、糸クズ、髪の毛、食品カスのように、床などの材質の表面に軽くのっている汚れは、ついてすぐであればほとんどが洗剤なしで落ちます。掃除機で吸い取るか、雑巾や布でカラ拭きするか、水拭き、または、たたいて取るかでOKです。ただし、水を使いすぎると汚れを広げてしまうおそれもあります。油汚れでも、すぐに湯拭きすると落ちるものです。
材質の表面に付着した汚れ
手アカ、泥汚れ、油汚れ、タバコのヤニ、排気ガスなど、材質の表面に付着した汚れは、中性洗剤か弱アルカリ性洗剤を使います。洗浄力がマイルドで材質も傷めません。ただし、時間が経ち空気や熱によって変化して固まると、材質にこびりついてしまうので、早めに掃除をして落とすようにしましょう。
材質にしみ込んだしつこい汚れ
表面に付着した汚れが時間の経過とともに温度、湿度、空気、光などの影響を受けて特殊な汚れに変化した場合です。ベタベタの油汚れ、焦げつき汚れ、し尿汚れ、石けんカス、水アカ、カビ、サビなどです。このときは強力洗剤やクレンザーなどで磨いて落とす方法があります。
汚れを知ってラクラク掃除
汚れには3つの種類がありますが、実際にはこれらが混じり合ったりしています。「汚れの程度」や「汚れがついた材質の性質や特徴」も見きわめて対処することが大切です。また場所別にどんな汚れがあるかを把握しておくのも、ラクに掃除するコツです。以下に、場所別の汚れを列記してみました。
- キッチンの汚れ
- ホコリ、食品カス、調理時の油、油汚れ、焦げつき、水アカ
- リビング、ダイニング、和室などの部屋の汚れ
- ホコリ、食品カス、手アカ、足の脂、髪の毛、フケ、油汚れ、ヤニ、泥・砂汚れ、スス、排気ガス
- ふすま、障子、柱、壁、天丼などの汚れ
- ホコリ、手アカ、ヤニ、スス、らくがき
- 家具などの調度品の汚れ
- ホコリ、手アカ、ヤニ、スス
- 照明器具、OA機器の汚れ
- ホコリ、手アカ、ヤニ、スス
- 浴室、洗面所、 トイレの汚れ
- ホコリ、髪の毛、水アカ、石けんカス、手アカ、化粧品などのはね汚れ、し尿
- 窓、網戸、玄関、外まわりの汚れ
- ホコリ、泥・砂汚れ、排気ガス、手アカ、ヤニ、靴墨
また、カビやダニ、サビ、ニオイなどは、いろいろな場所で発生する可能性があります。
日頃の手入れと定期的な補修、修繕が大切
家の中はいつも新鮮でありたいと思うものです。まして新築の家では、その新しさをずっと保っていたいと誰もが思っています。しかし、年月が経つうちに柱が汚れたり、壁紙が破れてきたり、塗装も剥げてくるなど、あちこちに粗が目立ってくるものです。
それは、住宅の構造にかかわるものから、カーペットのシミまで、さまざまな段階があります。住宅そのものの劣化が進むと大がかりな修繕を必要とし、出費も馬鹿になりません。しかし、日頃の手入れをしっかりして、場所別に定期的なメンテナンスをしていると、住宅そのものもかなり長持ちするのです。
たとえば、壁紙、ふすま、障子の張り替えや塗り替えをするだけでも新鮮さが保たれ、同時に建具のメンテナンスもできます。フローリングの床に定期的にワックスやニスを塗っておけば、材質の保護になり、いつもピカピカの状態でいられます。また、力ビやサビが出ないように気をつけることも、建物や器具の劣化を進ませない重要なポイントなのです。
もちろん、屋根の修理や排水管の補修といつた専門技術や危険をともなうものは業者に依頼するとしても、家庭でできる手入れや修繕はたくさんあります。また緊急なときは家庭で応急手当をして、業者に直してもらうことも大切です。
汚れの掃除方法だけでなく、ちょっとした修繕の方法や工夫のしかたをたくさん知っていると、いろいろなことに役立ちます。